中古の賃貸併用住宅は、新築物件と比較して購入コストを大幅に抑えることができることや、入居と同時に新生活をスタートできることなど、いくつかの大きなメリットがあります。また、賃貸部分から得られる家賃収入により、住宅ローンの負担軽減も図れます。しかし、中古物件特有の注意すべきポイントがいくつか存在するため、慎重な検討が必要です。
中古の賃貸併用住宅では、築年数に応じた建物の劣化により、新築物件よりも修繕費用が多く発生する傾向があります。
例えば外壁塗装や屋根の葺き替え、防水工事といった大規模な修繕工事をはじめ、配管設備や電気系統の老朽化対応も想定しなければなりません。これらの費用は物件購入時には判断しにくく、予想以上の出費により家計に大きな負担をかけることがあります。
また、設備の老朽化を原因に賃貸部分でトラブルが発生すれば、対応次第では入居者の満足度低下を招き、退去につながる恐れもあります。
物件選びでは、過去の修繕実績や建物診断の実施状況を必ず確認し、今後必要となるメンテナンス費用を事前に算出しておくことが大切です。
中古の賃貸併用住宅では、物件の築年数により住宅ローンの借入期間が短縮される場合があります。金融機関は建物の法定耐用年数を参考に融資期間を決定するため、築年数が経過した物件ほど返済期間が限られてしまう、ということです。
返済期間の短縮は月々の返済額増加を招くため、当初想定していた収支計画に大きな影響を与えかねません。特に家賃収入をローン返済の主要財源として考えている場合、返済負担の増加により家計への圧迫が深刻になるケースもあります。
購入前には複数の金融機関で融資条件を比較検討し、現実的な返済プランを組み立てることが重要です。
中古の賃貸併用住宅には、購入時点で既に入居者がいる物件も少なくありません。
この場合、新たな所有者になったとしても、既存の賃貸借契約の内容変更や入居者への退去要求は簡単にはできません。仮に、入居者による家賃滞納や近隣トラブルなどの問題があれば、新所有者がそのまま引き継ぐことになります。
また、契約書の内容次第では修繕責任や対応義務が発生し、運営コストや収益性に悪影響を及ぼす恐れもあります。
物件購入を検討する際は、現在の賃貸借契約書の詳細な内容確認と、入居者の居住状況について十分な調査を行うことが必要です。
抵当権とは、住宅ローンを提供する金融機関が、融資の担保として不動産に設定する法的権利のこと。借主が返済を怠った場合、金融機関はこの権利を行使して物件を競売にかけ、債権回収を図ることができます。
住宅購入時の融資において、返済の確実性を担保する重要な仕組みとして、多くの住宅ローンで設定されています。
中古の賃貸併用住宅に抵当権が設定されたままの状態では、所有権移転手続きが円滑に進まない危険性があります。
もし、抵当権の存在とあわせ、前所有者の残債も残っている場合、前所有者が返済不能状態に陥れば、購入後の物件であっても競売対象となってしまう可能性もあるでしょう。新所有者が予期しないトラブルに巻き込まれれば、賃貸経営はおろか、居住継続も困難になりかねません。
安心して物件を取得し、継続的な収益を確保するためには、抵当権の設定状況を必ず事前確認することが不可欠です。
抵当権の抹消には、まず住宅ローンの完全返済が必要条件となります。完済後、金融機関から抹消登記に必要な各種書類を取得し、法務局において登記変更手続きを実施します。
通常は司法書士に手続きを依頼することが多く、費用は一般に数万円程度。抹消登記の完了により所有権が完全に移転され、安全な売買取引が実現します。
物件購入検討時には、抵当権の有無確認と抹消手続きの進行状況を必ずチェックしておきましょう。
中古の賃貸併用住宅の登記簿には、仮登記が記載されているケースがあります。
仮登記とは、将来の正式な登記を見据えて権利を保護するための手続きのこと。第三者による潜在的な権利主張が存在していることを示しています。
未抹消の仮登記が残存していると、売買契約成立後に他の権利者から優先権を主張され、所有権移転や住宅ローン手続きに重大な支障が生じかねません。過去の購入予定者や債権者に関連する権利が絡んでいる場合、深刻なトラブルの火種となり、予定していた賃貸事業の開始が困難になる事態も想定されます。
このようなトラブルを避けるためには、物件購入を検討する段階で登記簿の詳細確認を行い、仮登記の存在有無を必ずチェックすることが重要。状況に応じて司法書士などの専門家への相談を行い、権利関係を完全に整理してから取引を進めることをお勧めします。
賃貸併用住宅を建てた後、経営のサポートを受けたい方は、ご検討のうえ問い合わせてみてはいかがでしょうか。
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