台風など雨風による災害が多い特性をもつ沖縄県では、鉄筋コンクリート構造の建物が一般的です。また、亜熱帯気候に属し、高温多湿な気候であるため、木造住宅は劣化しやすい、台風に弱い、というイメージがあるかもしれません。
しかし、2017年〜2021年までの過去５年間の新設住宅着工戸数（構造別）では、木造住宅の建築が増加傾向※にあります。本記事では、沖縄の住宅に関する歴史的背景から、気候的な背景とシロアリの問題やその対策、そして沖縄の木造住宅で快適に暮らすためのポイントについて詳しく解説していきます。
沖縄における木造住宅の歴史は、風土や災害への対応から独自の進化を遂げてきました。もともと沖縄では木材を中心とした建築が一般的でしたが、戦後の資材不足や米軍統治下の影響でコンクリートの利用が広まりました※。この背景には、台風やシロアリに対する耐久性の観点からコンクリートが推奨されたことが挙げられます。
しかし、技術の発達や、湿度調整など快適性に優れた木材の特性が再評価され、近年では木造住宅の利用が注目されています。
沖縄県は亜熱帯気候に属し、年間を通じて温暖で温度差が小さいことが特徴で、高温多湿な環境です※1。この気候条件はシロアリの生息に適しており、沖縄ではイエシロアリの活動が活発といわれています※2。
イエシロアリは大規模なコロニーを形成し、地中から「蟻道」と呼ばれるトンネルを作りながら建物に侵入してきます。柱や梁などが食害されると建物の耐久性が落ち、被害が大きい場合には修復に多額の費用がかかることもあります。
さらに、被害は木造住宅に限らず、RC住宅にも及ぶといわれています※2。そのため、沖縄で住宅を建てる際には、シロアリ対策が欠かせません。
※参照元 1：那覇航空測候所（https://www.jma-net.go.jp/naha-airport/tokusei.html）
※参照元 2：タイムス住宅新聞ウェブマガジン（https://sumai.okinawatimes.co.jp/commons/special/detail/16255）
シロアリ被害を防ぐため、実際にはどのような対策がされているのか見ていきましょう。まず、シロアリの侵入を防ぐ方法の一つとして、基礎部分では、一面コンクリートで覆う「ベタ基礎」が採用されることが多いようです。
さらに、木材には防虫・防蟻効果のある薬剤を使用し、シロアリの食害を防止します。健康被害を考慮して、人体への影響が少ないとされる天然素材にこだわる業者もおり、一言に薬剤処理といっても様々な薬品が存在するようです。
また、基礎の内側や束石周囲に薬剤を散布する「帯状散布法」や、土壌表面全体に均一に散布する「面状散布法」など、土壌処理の方法もあります。ただし、経年による劣化や万が一防げなかったことも考え、シロアリ保証に入ることも対策の一つといえます。
沖縄で木造住宅を建築する際には、以下の点に注意が必要です。
まず、沖縄特有の高温多湿な気候は、木材の劣化やシロアリ被害を促進する可能性があります。そのため、耐久性の高い木材の選定やカビ対策、適切な防蟻処理が不可欠です。
また、台風の多い地域であるため、強風や豪雨に耐えられる構造設計が求められます。具体的には、耐風性能を高めるための補強や、雨水の侵入を防ぐ防水対策が重要です。
さらに、塩害による金属部材の腐食も懸念されるため、耐塩害性の高い材料の使用や適切なメンテナンスが必要といえます。
沖縄で木造住宅を快適に暮らすためには、沖縄気候に適した対策が重要です。
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